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このプロジェクトのこと(3)
第4巻を使っての授業が今のセメスター3クラスある。そこで、思うことをちょっと書いてみたい。
「ドイツからこんにちは!」はA1とA2の内容を学ぶ教科書で、最終的には、N5 (JLPT)のテストにでる漢字、ボキャブラリー、文法項目を網羅している。 ただ、使っていると、Band4は他の教科書のA2の範囲を超える文法や用法がたくさん出てくる。例えば「たがっている」や、普通体(常体、Einfachform)の使い方。ない形では、「ないでください」以外の使い方、「ないで」「なくて」も丁寧に説明し、練習問題がある。これも、先に初中級(B1, N4の範囲)の教科書「福岡からこんにちは!」ができていてい、それに合わせてスロープを降りるように初級を開発していったからだと思う。J ブリッジという日本でも海外でも使われている人気の教科書があるが、あれは、留学生試験を受かって日本の大学に来た学生を対象にした中級の教科書が先にできていて、それに合わせて、後から初級を作ったと著者の先生がおっしゃっていた。私たちのプロジェクトも先にB1を作っていたので、A1,A2の配分がゆとりを持って作れたのだと思う。
文法項目としては、第4巻はもう終盤で、第3巻の「て形」「ない形」が終わればあとは、トピックス的なテーマがいくつか散りばめられているだけ。だから、最初時間的にも予算的にも厳しくなったとき、第3巻までであとは、単語表と、いくつかの文法項目をリストアップしたプラス1教材ぐらい作れば、第4巻はなくても良いのではないかと思ったぐらいだ。その時に著者の先生方から、「ぜひ第4巻が必要」という強いお言葉をいただき、今のような「仮の形」での出版に踏み切った。今、イラストを追加して、漢字ワークの中にあるコラムを追加して、完成版を出版する準備をしている。諸事情でスケジュールは遅れ気味だが、すでにプロジェクトは動いているので、遅くとも来春には第二版の出版ができるだろう。
さて、第4巻は文法項目では、動詞の活用などの「大物」はないのだが、表現や単語にバリエーションが出てきていて、それが初中級への橋渡しになっていると思う。また、多分、試験には出ないだろうが、ドイツにいる日本人、あるいは観光でドイツを訪れる人たちにはおなじみのものなどもちらばめられている。この教科書は、あくまでもドイツ語圏の学習者がドイツで日本人との接触場面に使える表現を中心に(一部、日本での場面もあるが)ストーリーが構成されている。だから、一部のドイツ好きな日本人には人気のある「信号小人」(Ampelmann)なども第二巻の表紙に登場してもらった。ドイツ人で、旧東地区でない人にはあまり馴染みがないため、知らない人もいるかもしれない。
それから、第4巻では、Lektion 18が「あげる」「もらう」という贈答の表現なので、日本人が好きそうなドイツやヨーロッパのお土産物が出てくる。Übungenに出てくる「ゾーリンゲンのハサミ」などもその一例だ。NRW州に縁の薄いドイツ人には、ゾーリンゲンという地名もあまり知られてないのではないだろうか。日本人の場合、それが「どこにあるのか」「街の中である」ということは知らなくても、双子印の商標とともに調理用のハサミとして知る人ぞ知るの存在感だ。日本の調理器具ではあまり馴染みのないハサミだが、魚の骨も簡単に切れる優れもの。厚手の絨毯も切れるという。一家に一つはあって損がない。私はサラダとかハーブを刻むとき、まな板や包丁に食材がくっつくのが嫌なので、ボールの中に野菜やハーブを入れてこのハサミでチョキチョキやってみじん切りにする。 (11月23日 投稿)
そもそも第4巻は、「NRW州」が表紙になっていて、Lektion 18では、デュッセルドルフとケルンが会話の場面設定になっている。南ドイツの受講者がこの機会に北ドイツのことを知ることになったりして、面白い。
Erstellt: 23. November 2020 12:56
Zuletzt überarbeitet: 28. November 2020 15:20